地鎮祭とは、建築工事を始める前に 土地の神様に工事の安全と無事な完成を祈願する儀式 です。日本では古くから行われており、神道の伝統に基づいた神聖な行事とされています。
【1】地鎮祭の目的
1. 土地の神様への挨拶と許可
- 建築工事を行う土地には神様（氏神）が宿るとされており、その神様に対して「これからここに建物を建てさせていただきます」と報告し、許可を得る意味があります。
2.工事の安全祈願
- 工事中の事故や災害が起こらないように、作業員の安全と工事の順調な進行を願います。
3.土地を清める
- 工事前に土地のけがれを祓い、清めることで、そこに建つ建物が末永く安定し、住む人が幸せに暮らせるよう祈願します。
【2】地鎮祭の流れ
1.祭壇の準備
- 神主が祭壇を設置し、供物（米、酒、塩、水、野菜、魚など）をお供えする。
- 竹を四隅に立て、注連縄（しめなわ）を張り、その土地を神聖な場とする。
2.修祓（しゅばつ）
- 神主が土地や参列者をお祓いし、清める。
3.降神（こうしん）
- 神様をその場にお迎えする儀式。
4.献饌（けんせん）
- 神様にお供え物を捧げる。
5.祝詞奏上（のりとそうじょう）
- 神主が祝詞（のりと）を読み上げ、工事の安全を祈る。
6.鍬入れの儀（くわいれのぎ）
- 施主（建築主）、施工者（工事会社の代表者）が鍬（くわ）や鋤（すき）を使い、「えい、えい、えい！」と掛け声をかけながら、象徴的に土地を耕す所作を行う。
7.玉串奉奠（たまぐしほうてん）
- 参列者が順番に玉串（榊の枝）を神前に捧げ、工事の無事を祈る。
8.撤饌（てっせん）・昇神（しょうしん）
- お供え物を下げ、神様をお送りする。
9.閉式の辞・直会（なおらい）
- 式の終了を宣言し、参列者でお供えしたお酒などをいただき、神様に感謝する。
【3】地鎮祭に必要なもの
1. お供え物
- 米、酒、塩、水、野菜、魚など
2. 初穂料（玉串料）
- 神主への謝礼
3. その他
- 鎌・鋤（すき）・鍬（くわ）
- 竹・注連縄
- 盛り砂
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【4】地鎮祭と着工式の違い
地鎮祭と似た儀式に 「着工式」 があります。
1. 着工式とは
1-1.目的
- 工事関係者が集まり、工事の安全や成功を誓い合う式典。
1-2.特徴
- 宗教的な意味合いは薄く、工事関係者の結束を高める目的が強い。
- 施工会社や設計者、施主が出席し、それぞれ挨拶を交わす。
- 地鎮祭とセットで行われることもある。
- 必ずしも神主を招く必要はなく、企業の式典として行うことが多い。
2.地鎮祭と着工式の主な違い
- 地鎮祭：神道の儀式で、工事の安全と土地の神様への報告・感謝を行います。
- 着工式：宗教色は薄く、工事関係者が集まり工事開始を祝う式典的な意味合いが強いです。
| 項目 | 地鎮祭 | 着工式 |
| 目的 | 土地の神様に工事の安全を祈る | 工事関係者の結束を固め、工事の成功を願う |
| 宗教的要素 | あり（神道が主流） | なし（式典的な意味合いが強い） |
| 主催者 | 施主（建築主） | 施工会社 |
| 参加者 | 施主・施工会社・設計者・神主など | 施工会社・設計者・施主など |
| タイミング | 工事着工前（基礎工事前） | 地鎮祭の後や、工事直前 |
| 実施内容 | 神主による祝詞、土地の清め、鍬入れの儀など | 関係者の挨拶、工事の方針発表、記念撮影など |
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